『図書館の大魔術師』考察ブログ

~しがないつぶやき【Z:sub】~

ある質屋にて ~ダイヤモンドは永遠の輝き~

(前回からのつづき)

 

めでたく質屋で店員のアルバイトをすることになったわけだが、最初はとにかく目がチカチカしてしようがなかった。宝飾品を販売する店だけあって、まず照明が明るいのである。ショーケースの中にも蛍光灯が仕込まれていたし、宝石・貴金属のコーナーにはいわゆるハロゲンライトが焚かれていて明るいし暑い。バッグの金メッキや腕時計のステンレスベルトまでもが、ブランド品とは縁のなかったぼくにはキラキラして見えた。

 

その中でもひときわキラキラだったのが、あたりまえだが宝石と貴金属である。ダイヤモンド、ルビー、サファイア、エメラルドなど、宝石はカットの加減によって輝き方が全然違っていたし、金・プラチナの地金そのものの輝きもあった。少し店員時代を思い出しながら、宝石と貴金属についての基礎知識をご紹介しよう。

 

【ダイヤモンド編】

ダイヤモンドの品質を表す4つの項目を「4C」という。

すなわち、

 

・Carat(カラット):1carat = 0.200g

・Color(カラー):D ⇒ E ⇒ F ⇒ G ⇒・・・⇒ Z

・Cut(カット):Excellent ⇒ Very Good ⇒ Good

・Clarity(クラリティー):F ⇒ IF ⇒ VVS ⇒ VS ⇒ SI

  ※カットとクラリティにもまだ下のグレードがあるが今回は省略。

 

まずはカラットだが、当然大きいほうが良いに決まっているのだけれど、質に入れたり買い取りに出す場合など、いわゆる二次流通まで考えるなら、0.3カラット以上にしておいたほうが良い。業界用語で「三分石(さんぶいし)」といって、0.3カラットを下まわると中古品市場ではほとんど価値がなくなるのである。

バイトをしている時分から不思議に思っていたのだが、「0.3」がなぜ「三分(さんぶ)」なのか。小学校の算数で、0.1が1割で、1割の10分の1が1分であると習ったではないか。長年の疑問であったのだが、今回この記事を書くにあたって改めて国語辞典を紐解いてみると、「分」の項目に「全体の10分の1」とあるではないか。なるほど、たしかに桜の花が「五分咲き」とか言うものナァ。

 

4Cすべてを高品質で揃えようと思ったら、もはや値段は天井知らずになってしまって、それは現実的ではない。そこで、実際にダイヤモンドを購入するにあたって、4Cの中でどれを妥協するか、という議論になる。

 

あくまでも個人の意見だが、クラリティーに関しては妥協してもよいであろう。天然石である以上、何らかの不純物が入っているのは致し方ないのだが、専門家が10倍のルーペを使って吟味するものなので、VSクラスでも肉眼ならほぼ問題は感じられない。

 

カラーに関しても、一番上等のDでなくとも、Fくらいまでであれば許容範囲である。カラーグレードの差は非常に微妙なので、比較対象がなければ素人がそれと判断するのは難しい。慣れている人ならGくらいから色味を感じるので、グレードを下げるにしてもFまでにしておくとよいだろう。

 

反対に、ここは妥協してはいけないというのがカットである。カットだけは最高のグレードのものを選ぶべきである。実際に見比べてみるとよくわかるのだが、Excellentと2段階下のGoodを比較すると、輝きの具合がまったく違うのである。カラットは別として、カラーとクラリティーが良くてもカットの加減で台無しになることもあるのだ。石そのものが小さくてもカットが良ければ、ダイヤモンド特有のギラギラした光を放つことで、正味の話ひとまわり大きく見えたりもするのである。

 

ダイヤモンド イメージ

 

≪まとめ≫

カラット:資産としての価値を求めるなら0.3カラット以上にするべし。

クラリティー:VVSあるいはVSクラスでも問題なし。

カラー:比べる対象がそばにないならFまでは許容範囲。

カット:妥協せずに最高品質のExcellentを求めるべし。

 

以上、あくまでも個人的な意見ではあるが、なにかのご参考になれば。

 

(さらにつづく。次回 地金について)