『図書館の大魔術師』考察ブログ

~しがないつぶやき【Z:sub】~

ロシアへの旅路① ~シェレメーチェボ空港~

大学生のときに、ロシアへ行った。モスクワに2週間の滞在で、あいだの週末を使ってサンクト・ペテルブルクも訪れた。2006年のことである。

学生はぼくを含めて4名、生涯学習講座でロシア語を受けている50代から60代の社会人が4名、それに大学のロシア語講座のY教授を入れて、しめて9人でモスクワへ向かった。

関西国際空港を夜に出発し、北京で乗りかえである。北京空港のあまりの広さに迷子になりかけた。中国語を習っていた学生が同行していなければどうなっていたことか。

 

シェレメーチェボ空港。モスクワの空の玄関口。

 

シェレメーチェボに着いたのは夜の8時ごろだから、着くまでにあわせて24時間くらいかかった勘定である。

空港のアナウンスときたら、初級ロシア語テキストしかこなしていない田舎学生にとって信じられない速さであったし、英語はほとんど通じない。この国において英語というのは、日本人の一般的なレベルの程度にしか通じない。

ここで2週間、はたして生きていけるのか。

迷子になったらどうすれば良い。

いろいろな不安が一瞬にして脳裏をよぎった。

 

迎えに来てくれたのは大学付きの運転手のおじさんで、背が高くて、すでにウォッカを一気飲みしたような赤ら顔だった。我々一同を、いいかげん旧式のフォルクスワーゲンのバンに放り込むと、ハンドルを右に左に操りながら、助手席に乗ったY教授にものすごいスピードで話しかけていた。運転席の真うしろに座っていたぼくには1単語も聞き取れなかった。あとで教授に聞いたことだが、なまりがきつくて教授も半分以上理解できなかったらしい(ちなみに教授の本当の専門はブルガリア語である)。

 

このおじさんは我々が帰国の折にも空港まで送ってくれた。

2週間の滞在で、食堂・レストラン・駅の券売などでのやり取りもできるようになり、最初に感じた言い知れない不安はすでに消えていた。

帰りも行きと同じように、Y教授を助手席に乗せて何やら話しかけていたので、ためしに耳を傾けてみた。でもやっぱり、何を言っているのかは一言も理解することはできなかった。

 

空港から一路、首都モスクワへ。車窓からモスクワ大学が見えた。

 

第2話 モスクワ大学