『図書館の大魔術師』考察ブログ

~しがないつぶやき【Z:sub】~

香川県の新刊発売日と近頃流行りのセットパック

香川県の新刊発売日

筆者の住む香川県では、新刊の発売日が1日ずれ込む。

日曜は書店の配送がお休みらしいので、規定の発売日が土曜に当たってしまったときには週明けの月曜まで新刊が手に入らない。地方であれば香川県に限ったことではないのかもしれないが、四国の他の3県や九州で暮らしたことがないので詳細はよく分からない。

 

だからそれを知っていないと、続きが気になる人気連載の最新刊を、ネットで発売日の確認までして、当日に喜び勇んで書店に行ったとしても、店員さんに「翌日です」と言われるか、1日ずれる旨を知らせる無情な貼り紙があるだけである。

 

週刊少年ジャンプ』など、雑誌は週刊誌も月刊誌も全国区と同じ日に発売されているはずなので、なぜこの「ずれ」が発生するのかはよく分からない。書籍と雑誌は委託販売の返品に関して期間が異なるが、発売日についても扱いが違うのだろうか。新刊は発売日の1~2週間前には各書店に届いているはずなのだが。

 

1日遅れるのが嫌だと言うなら、ネット通販等で予約をしておけば発売日当日に手に入れることができる。でも、個人的にそれはしたくない。

 

本は、メーカーである出版社と小売りである書店のほかに、全国に配本する卸である取次の三者によって扱われている。Amazonで買うのも楽であるし、売り場スペースや配本の関係で、リアルの書店で手に入らない場合は仕方がないのだが、紙の本はなるべく書店で、自分で実物を手に取って買ってもらいたい。そうすることで、業界全体にお金が回るのである。

 

だからぼくは出版業界にいたことのある人間として、ジャンプコミックスのように、全国津々浦々どんな小さな書店でも手に入るような本は実際の書店で、出版社がマイナーであったり少しマニアックな本はネットで購入するようにしている。自己満足の域を出るものではないのだが。

 

 

■ このごろよく見る「お試しパック」

書店で漫画を物色していると、シリーズ最初の3~5巻をシュリンクパックでセット売りしていることがある。

たとえばこんなのとか、

直近ならこんなのとか。

 

こういうセット販売は、1巻ごとに単体で購入するよりも安くなっていることがある。メディアミックスを記念して等と銘打っているが、出版社の真意としては別のところにあると思っている。

 

出版業界には「再販制度」というものがある。

正式には「再販売価格維持制度」といい、書店は出版社が決めた価格で書籍・雑誌を販売するというもので、本来一般的な流通においては独占禁止法で禁じられているのだが、書籍・雑誌などの著作物については例外的に認められている。

 

この制度があることによって、書店どうしの安売り競争が防がれ、商品の偏りも抑えることができている。しかし一方で、スーパーのお総菜のようにタイムセールで値下げしたり、歳末大売り出し全品10%OFFなどといった割引を書店の裁量で行うことはできない。

 

たとえば、東野圭吾のミステリの新刊がハードカバーで出版され、それが数か月・数年ののちに文庫化されて再び販売された場合、これはある種の値下げであると考えられる。だが、お総菜のコロッケに3割引のシールをペッと貼るのと違って、書籍の文庫化はそれ自体に経費がかかる。出版社にとって、別版を新たに製作するのは在庫をかかえるという意味でそれなりのリスクを伴うのである。それでも、文芸書なら文庫化という手段を取ることもできるが、まだ続刊しているコミックスだとそうはいかない。

 

そこで、既刊の販促のために考え出された方法がこのセット売りである。書籍には1点1点にISBNコードという13桁の国際標準図書番号が付いているので、数冊まとめて1つの商品として新たにISBNコードを発行することで、価格も新たに設定することができるのである。それを本来の定価よりも低い価格にすることで、割引を可能にしているのである。

 

「既刊を売るために必死か」などと思わずに、自分たちのルールのなかで、値下げをするにはどうしたらいいかを考えた結果であることを理解してあげよう。